私たち新聞部は、来年、岡山城東高校が創立二〇周年を迎えるにあたり、二期生で、同窓会会長の三宅雅之さんに高校生活の思い出について話してもらいました。


左より 一年 頭巾佳奈、 同窓会会長 三宅雅之氏、 一年 片島由加里 本校中庭にて

頭巾 まず、自己紹介をお願いします。

三宅 二期生の三宅雅之です。昨年から城東高校の同窓会会長をしています。高校時代は柔道部に所属していました。評議委員や翠緑祭準備委員もしていました。高校卒業後は岡山大学の教育学部へ進学し、今は小学校の教員として働いています。

片島 では次に、高校生活の思い出について教えてください。

★自由に憧れ入学

三宅 私は「新しい学校でおもしろそう」という動機で入学しました。他の生徒もそうだったんじゃないかと思います。新しい学校を自分たちで作ろう。ルールやきまり、校則も自分たちで作りたい。という気持ちに満ちあふれていました。実際にコートの校則を変えました。最初はグレーのロングの学校規定のコートでした。やがて規定のコートを自由にしようという話になり、今みなさんの生徒手帳にあるように、「華美でないもの」に変えたんです。その時は、何度も話し合いをしました。

頭巾 他には何か覚えていらっしゃいますか。

三宅 翠緑祭で模擬店ができるようにしました。最初は模擬店なんてなかったんです。執行部には、「文化祭は文化的なものでなければいけない。模擬店をすると遊びに走ってしまう」という考えがあったんです。でも、文化祭に模擬店がないのは、やっぱりつまらないので、何回も話し合いをして、やっと第三回翠緑祭で模擬店が実現しました。私はこういう風に、自由が広がっていくのが好きでした。

片島 二〇年前も今も、城東高校の自由な雰囲気はそのままですね。

三宅 そうですね。でも、私の頃はその自由の中に厳しいこともありました。特に交通ルールについては厳しかったんです。それで、「絶対しません、並進、二人乗り」などと書かれたステッカーを毎年一枚自転車に貼らされました。三年生になった時にはもう貼るところがないくらいで、少々恥ずかしかったです。でも、全体的に見ると、やっぱり城東高校は自由な校風です。今、外から城東高校を見てもそう思います。

頭巾 ところで、みろくの里の研修のことは覚えていらっしゃいますか。

三宅 みろく?ほとんど覚えていません。ただ、全体の話し合いの会の最後に「自己の限界を広げよう。オー。」と言ったことは覚えてるんです。でも、部活動のことはよく覚えています。

片島 それでは、部活動の話をお願いします。

三宅 私は柔道部に入っていたのですが、最初は人数が少なく、同好会だったので、試合にも出場させてもらえなかったんです。くやしかったです。初めの頃は格技場もなくて、練習はいつも畳を敷いた体育館の二階でおこなっていました。だから、格技場ができた時は本当に嬉しかったです。同好会から部となって、初めて試合に出て県大会でベスト8になった時は、とても誇らしい気持ちでした。

★時間制限の中での

部活動

頭巾 部活動といえば、当時、野球部が甲子園に初出場されたとお聞きしましたが。

三宅 そうです。私が高三の時だから、創立四年目ですね。県予選の時から有志の応援団を作り、応援に行きました。私も有志の一人だったのですが、楽しかったですね。大変盛り上がっていました。もちろん補習もあったのですが、応援に行くのなら休んでも許されました。結局、県大会で優勝し、甲子園初出場で初戦は浜松商と対戦し12対6で惜しくも負けたんです。でも、すべて楽しかったです。

片島 やはり、部活動は他校と比べて盛んだったのですか。

三宅 盛んだったのかなぁ。時間の制限が厳しかったので、みんな頑張っていました。

頭巾 ここに、城東高校の新聞第四号があります。三宅さんが一年生だった時の一年生全員の想いが、二行程で書かれています。

三宅 私は六組で……あった。「自由、じゆう、ジユウ。勉強以外は、とにかく自由!」あぁ、そんな感じでしたね。そういえば、当時、先生方がすごく五校を意識していました。五校に負けないように、学年プラス三時間は勉強しなさいと言われていました。そんなに勉強できない、どうすればいいんだ。と思っていました。

★万事塞翁が馬

片島 同窓会入会式ではどんなお話をされていますか。

三宅 「人間、万事塞翁が馬」という話です。この会は、卒業生に卒業式前日に行っています。まだ進路が決まっていない人も多い時期にあるんです。その人たちを前に、あなたにはすばらしい未来が待っていますなんて言えないでしょ。だから、「万事塞翁が馬。」つまり、第一志望が必ずしも良いとは限らない。第二志望でも、かえって良かったり、いい出会いがあったりするかもしれない。たとえその時願いが叶わなくとも、結果が良いこともある、といったような話をしました。

頭巾 具体的には、どういうことですか。

三宅 私の体験からいうと、高校生の時、好きな女の子に告白してふられたけれど、その時ふられていたから今の家族がある。それから、私は神戸大学の受験に失敗して、岡山大学へ進学しました。岡大へ行って、良い友達にめぐり合うことができました。そして、大学四年生の時に阪神淡路大震災があったんです。もし、神戸大学に進学していたら。私は一人暮らしに憧れていたので、きっと安いボロアパートに住んでいたと思います。そして、あの震災で命を落としていたかもしれません。そう思うと、神戸大に行かなくて良かった、まさに「人間万事塞翁が馬」であると感じます。

★今しかできないことを

片島 これからの城東生に一言お願いします。

三宅 今できること、今しかできないことを精一杯、そして最大限にやって卒業してもらいたいです。部活も、勉強も、やり残すことのないように。それができるのは、城東高校しかないです。