岡山城東高校の日々をつづります
岡山城東な日々

第28回卒業式を行いました。

3月1日(水)卒業式を行いました。

城東高校オーケストラによるシベリウスの「フィンランディア」の演奏の中、卒業生入場です。

城東では毎年、卒業式のためにオーケストラと合唱団が編成されます。今年はオーケストラが管弦楽部と吹奏楽部の86名、合唱は合唱部と2年次音楽学類生徒、1年次音楽選択者の164名。式場の2階席から、総勢250名の生演奏で式典を美しく、厳かに盛り上げます。

校長式辞。

卒業生代表答辞では、城東での熱い3年間の思いが語られ、卒業生はもちろん、在校生、保護者、教職員みんなの心に響きました。

最後は全員で校歌斉唱です。
卒業生のみなさん、ご卒業おめでとうございます!城東(ここ)で学んだことを力に、みなさんが次のステージで大きく活躍されることを祈っています。

たくさんの祝電をいただきありがとうございました。

【校長式辞】

中庭の芝生に降り注ぐ、やわらかな日差しに、春の訪れを感じる今日の佳き日、岡山県教育委員会を始め、多数の御来賓並びに保護者の皆様方の御臨席を賜り、岡山県立岡山城東高等学校第二十八回卒業式を、このように盛大に挙行できますことは、まことに感に堪えないところでございます。教職員を代表いたしまして、御臨席の皆様に、まず厚く御礼を申しあげます。

ただいま、卒業証書を授与いたしました三五二名の卒業生の皆さん、卒業おめでとう。また、保護者の皆様におかれましても、今日の晴れの日を迎えられ、三年間で立派に成長されたお子様の御様子に、お喜びもひとしおのことと拝察いたします。心からお祝いを申し上げます。

さて、卒業生の皆さんは、岡山城東高校の歴史の中で、重大な時期に足跡を残されました。この三年間は城東が更に大きく発展しようとしてきた時だったからです。そこには、次の二つの要素があります。

第一に、皆さんが卒業する今年は、本校の創立三十周年に当たる年だということです。ちょうど皆さんが入学した頃から、平成二十八年十一月三日の創立記念式典に向けて、様々な準備が始まりました。同窓会やPTAのご協力も得て、グランド横に雨天練習場を整備したり、学校入口に表彰看板を設置したりするなど、施設面も充実しました。

一方、節目を迎えるにあたって、皆さんのご両親の世代が高校生の頃の、城東高校の初々しい創世期、新しい学校を造るという希望や理想に燃えていた姿を紐解くとともに、これからの三十年はどのような学園を作っていくべきかということを、皆さんも交えて考えてきました。

三十年間で社会は大きく変貌しましたが、皆さんは、先輩から脈々と受け継がれた「城東の自由」や「文武両道」「集中と切り替え」などの伝統を継承し、皆さんなりのスタイルで昇華させてきました。現代の若者は悟り世代とも揶揄され、淡白で元気がないと言われることもありますが、皆さんに限っては全く当てはまりませんでした。翠緑祭をはじめとする学校行事はもとより、勉強にも部活動にも全力で取組んでいました。充実感にあふれた皆さんの姿を見て、多様な才能を最大限に伸ばせるように、活躍の場を提供するという、本校の使命を再確認することができました。皆さんのおかげで次の三十年に向けて、力強く踏み出すことができたと言っても過言ではありません。

第二に、皆さんが入学した年は、岡山城東高校がスーパーグローバルハイスクールに指定された年だということです。文部科学省のSGH事業は平成二十六年に始まり、本校は初年度指定校です。ですから、皆さんが経験した国の施策としてのグローバルリーダー育成に向けた学習は、本校はもとより日本でも初めての取組であり、皆さんはまさにパイオニアと言えます。新しく立ち上がった事業だけに、私たち教職員は手さぐりでカリキュラムを編成し、GLOBALの授業を開発するという、不安でいっぱいの船出となりました。

しかし、案ずるより産むが易しで、皆さんはとても意欲的に初めての課題研究「GLOBALⅠやⅡ」に取組んで、国境を越えた社会課題について深く研究し、答えのない問題に対して自分たちなりの解決の方策を提言するなど、初年度とは思えない素晴らしい成果を挙げました。海外修学研修のためにイギリスへ派遣された皆さんは、名門大学や高校を訪問し、研究成果を英語で発表しました。また、三年次に開設したGLOBALⅢも自発的に履修し、部活動や受験勉強との両立を図りながら、種々のフィールドワークを通じて研究を深め、それを進学や将来の職業選択に繋げた人もいます。同じSGH校である岡山操山高校の発表会に、城東の代表として出向いた人は、成果報告の最後を、次の言葉で締めくくりました。「三年間のグローバルの活動を通して、世界と自分とを切り離して考えることをやめました。どんなにちっぽけな一個人の発信でも、誰かに届いて、何かが変わる。そう信じています。」皆さんが真摯で前向きに取組んできた諸活動は、後輩に受け継がれ、年を追って充実・発展しています。

学習指導要領改訂を始めとする教育改革の中で、詰め込んだ知識の多さだけでなく、それを活用する能力も重視されるようになり、主体的・対話的な深い学びを指すアクティブラーニングを、教科の授業に取り入れる学校が増えています。そのような中、皆さんがパイオニアとして開拓したSGHでの学びは、教科を横断し、グローバル社会を睨んだアクティブラーニングであり、日本の高校教育をリードした取組と言えます。

現在国際社会には、エネルギー・環境問題、民族・宗教問題や国際紛争、貧困・テロ・難民問題など、グローバルな視点で解決すべき課題が山積しているにもかかわらず、グローバル化に反する動きも湧き起こり、先行きの見通せない時代に突入しています。このような時代だからこそ、今ある社会を批判的に捉え、多様な社会課題を様々な立場の人々の意見を調整して解決に導ける、グローバルリーダーが求められているのです。

皆さんは三年間で、学類での専門的学習やSGHでの学びを通じて、教科の勉強だけでは得られない多くの力を身に付けました。四月からは次のステージに進み、一層こうした力を伸ばすとともに、更に深く社会の実態を知り、多くのことを体験して、国際社会に貢献できる若者になってください。

昨年5月に、倉敷でG7教育大臣会合がありました。「The Power of Education ~教育の力で未来をつなぐ~」をテーマとした公開シンポジウムには、私や皆さんの代表も参加しましたが、基調講演に立ったのは、あのマララさんと同時にノーベル平和賞を受賞した、カイラシュ・サトヤルティさんでした。彼は世界の児童労働の根絶を目指した活動をしていますが、何かを成し遂げるためには3つのDが必要であるという趣旨のことを述べています。3つのDとは、Dream 何かを成し遂げたいなら大きな夢を持とう、Discover 自分が秘めている力を発見しよう、Do 今から行動を起こそう、です。

皆さんの中には、城東高校で学ぶ中で、自分が成し遂げたい夢を見つけた人や、自分では気づいていなかった能力や可能性を発見した人もいたことでしょう。これからは、自分の個性や能力に更に磨きをかけ、夢を形にするべく、パイオニアとして、また主権者のリーダーとして、今から行動を起こしましょう。

結びに、皆さんが、城東で培った「進取・協同」の精神をよりどころに、多様な価値観を認めながらも自分の考えをしっかりと持ち、主体的に行動できるグローバルリーダーに成長すること、そして何よりも健康で幸福な人生を歩まれることを祈念して、式辞といたします。

 

平成二十九年三月一日

岡山県立岡山城東高等学校

校 長  浅 沼  淳

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